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根気強く観察すれば知恵が出る 世界に誇る日本の自動車メーカー・トヨタ自動車。 その技術職の最高ポストといわれる技監を 11年間務めた林南八さんに、 師であるトヨタ生産方式の生みの親・大野耐一さんや 鈴村喜久雄さんから学んだ仕事の極意。 (――厳しい2人の師匠、大野耐一さんと 鈴村喜久男さんから学ばれたことは何ですか?) (林) まず鈴村さんとのエピソードで忘れられないのは、 入社5年目の時のことです。トヨタ生産方式の柱の1つに、 「異常があったら止まる、止める」というのがあるんですが、 乗用車の組み立てを行うベルトコンベヤーで、 1か所頻繁に止まってしまう繋ぎ目があった。 鈴村さんがチョークで床に丸を描いて、 「林はここに立って見とれ」と。 何を見ればいいのかよく分からんまま半日立たされた。 鈴村さんが昼頃に来て、「何か分かったか」と聞かれたので、 「分かりません」と答えたら、 「おまえな、節穴の開いた五寸板を拾ってこい!」と。 えらい剣幕で怒鳴るもんだから板を探しに行こうとしたら、 「たわけ! 何も見抜けんやつは節穴の開いた板と一緒だ。 しかし、おまえには給料がつく。そのおまえの代わりに板立てとけ」と。 (――容赦のない言葉ですね。) (林) 「くそぉー」と思って、そこからまた観察し、 夕方に「こういうことですか」と尋ねると、 「分かってるならなぜやらない。晩のうちに直せ」とまた怒られた。 それで深夜2時頃まで一所懸命やってたら設備保全の人が来て、 「仮眠室で寝てこい。あとはこっちでやるから心配するな」と助けてくれた。 鈴村さんはよく 「目で見るな、足で見よ。頭で考えるな、手で考えよ」 と言っていましたが、現場に行き、自らの手で触って確認すると共に、 問題が起きたら「なぜ?」を5回繰り返して真の原因を探すことの大事さ、 そして根気強く観察すれば知恵が出ることを、身を以て学ぶことができました。 |
2019.07.08 |
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