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笑い話にできるように努力しなさい 桂歌丸さん(享年81)が生前よく語っていた言葉 (歌丸師匠) 私が噺家になったのは昭和26年、 戦後すぐですからね、もう笑いのうんと少ない時代ですわ。 ラジオで週に2回、寄席の番組がありましてね。 そこで昭和の名人たちが聴衆を笑わせているわけですよ。 それを聴いて、「俺の進む道は落語家以外にない」と思ったんです。 小学4年生の時でした。 迷いはなかったですね。 だから私は中学も高校も行かないって言ったんです。 そうしたら祖母に「みっともないから中学だけは行ってくれ」 と言われたんで、嫌々中学に行っていた。 宿題もやらなかったし、 先生に「落語と勉強、どっちが大事だ」と怒られて 「落語のほうが大事だ」って(笑)。 それでもう卒業を待ちきれなくて 中学3年の11月に古今亭今輔師匠のもとに 飛び込んじゃったんですからね。 噺家になって1年後に祖母が亡くなってしまったんです。 64歳でした。それからは今輔師匠が親代わりになってくださった。 あと祖母と長年付き合っていた近所の方もいろいろと面倒を見てくれた。 その頃、今輔師匠からこう言われたことがあるんです。 「苦労しなさい。 ただ、何年かして振り返ってみた時に、 その苦労を笑い話にできるように努力しなさい」 苦労の壁をどう乗り越えるか、どう突き破るか、 それも一つの勉強だと。 若い時には師匠の言葉の真意は分かりませんでしたけど、 いまになってみると大変有り難い言葉だと思います。 |
2019.07.07 |
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