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一語履歴WORD vol.658a


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「思い」を強く抱き、誰にも... 651a有り難いというのは...
人を助けたからといって返礼など貰わない国柄である

幕末、日本とロシアの間で締結された日露和親条約。
千島列島と樺太の領有を目論むロシア側に対峙したのが、
勘定奉行の川路聖謨(かわじ・としあきら)でした。

(PTA役員) 
これからの日本はどうしたらいいのでしょうか。
参考にすべき世界の国との付き合い方、
あるいは交渉の仕方などが歴史に残されていませんか。

(占部)
ありますよ。
たとえば、皆さんよくご存じの日露和親条約があるでしょ。
あれは日本とロシアの国境を画定するための条約です。
そのための交渉に来航したのがプチャーチンでしたね。

実は、この条約締結の交渉過程における双方の発言の一言一句が
すべて記録に残されています。

(PTA役員) 
そんな記録があるんですか。面白そうですね。

(占部)
これを読むと分かりますが、
日露双方は千島列島と樺太をめぐって
息詰まる交渉を繰り広げています。
我が方の交渉チームの代表は、
幕府きっての国際通として知られた勘定奉行の川路聖謨です。

まずプチャーチンは、
「択捉は何れの所領と心得られ候や」
と切り出すのです。
これに対して川路は43年前の故事を挙げて応じます。

「プチャーチン殿、かつて貴国の軍人ゴロウニンが
国後でわが国に捕らえられた事件は御存じであろう。
その時、ゴロウニンはウルップと択捉のあいだを国境とする旨、
証文で確約したではないか。
従って当然のこと、択捉はわが領土である」

プチャーチンは狼狽して、
この件を保留するのが精一杯でした。

次いで議題は樺太問題に移ります。

川路は樺太の国境については
きちんとした実地調査を行って確定すべきであると主張。
これに対してプチャーチンは、
早期に目処が立たなければ
樺太に入植を開始するぞと恫喝するのです。

こうした態度に川路は負けてはいません。
こう切り返しました。

「貴殿の態度は何と傲岸か。
 もはやこれまで、交渉は打ち切ろうではないか」

この川路の剣幕を目の当たりにしてプチャーチンは、

「申立ての眼目は、
 事を速に致度(いたした)くと存ずる事に候間、
 御勘弁之有り度く候」

要するに、
早期に妥結したい気持ちから申し上げたに過ぎず、
誤解を招いたとすればお詫びすると陳謝したのです。
脅しにはけっして屈しない
川路の面目躍如たる場面ですね。

しかしね、相手は老獪なプチャーチンです。
すぐさま話題を変えて、
外国船が燃料や食料を求めた際は無償ではなく、
有償で買い取らせて欲しいと申し出ます。

川路はその底意がどこにあるのか、見逃さなかった。
こう答えました。いわく、

「瑣末(さまつ)の処へ力を入れ
 論弁之有り候には及ぶ間敷(まじ)く、
 我朝の人は、人の迷惑難儀を救ひ候て、
 礼物値等受取り候儀は致さざる国風に候」

そんな些事にこだわりなさるな。
我が国では、人を助けたからといって
返礼など貰わない国柄である。
その点よく承知おき願いたい。そう回答したのです。

たとえ緊急時の支援であっても、
金銭を受け取れば商取引と見做される。
そうした既成事実を作れば、
そこにつけ込まれて通商条約の口実を与え、
相手の思う壺となりかねないからです。

(教師C) 
よく見抜きましたね。

(占部)
川路の能力の高さもありますが、一番は公平無私だからでしょう。
手柄を立ててやろうとか、相手をへこましてやろうとかの邪念を払って
交渉に臨んでいるから、相手の底意が見えるんですよ。

2002.04.29

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