一語履歴
ここで逃げたら逃げ続けることになる 高校教師(北海道在住) 最初の授業に行くと、生徒から 「お前どこから来た?」 「年はなんぼだ?」 「この学校何年目だ? 俺らのほうが先輩だから敬え」等々、 耳を疑うような言葉をぶつけられました。 それを諭して授業に入ると、消しゴムやカッターナイフが 教壇に投げられ、それを指導しても食ってかかられる始末。 その後も教科書を出さない、教室に入らないなど、 とても授業を行える環境ではありませんでした。 当時の校長先生に相談すると、 「ここで逃げたら、これからの教員人生を 逃げ続けることになる。逃げずに勝負せよ」 と諭されました。 そんなときに月刊誌『致知』を知り興味を抱き購読を始めました。 人生の先輩方の金言が心に刺さり、過去の号も読み進める中で 安岡正篤氏の「六然(りくぜん)」という言葉を知りました。 自処超然 処人藹然 有事斬然 無事澄然 得意澹然 失意泰然 一、自処超然(ちょうぜん) 自分自身は何事にも執着せず平然とし、 自分自身の問題には一切捉われない。 二、処人藹然(あいぜん) 人と接するときは、表情も態度も春の気のように やわらいで穏やかな気持ちでいる。 三、有事斬然(ざんぜん) 一旦、事が起こると、ぐずぐずしないでテキパキと対処する。 四、無事澄然(ちょうぜん) 何も問題がない時は、水のように澄んだ心でいる。 五、得意澹然(たんぜん) 物事が上手くいって得意なときは、努めて淡々とし、あっさりとした謙虚な 態度でいる。 調子のよい時は、傲慢な心が出やすいので気を付ける。 六、失意泰然(たいぜん) 失意のときは、やせ我慢でいいから、ゆったりと構え落ち着いている。 「聖人の行き着く領域はここなのか」と 刮目(かつもく)し、心を落ち着かせて生徒に対するべく、 同僚の書道の先生に「六然」を揮毫(きごう)していただき、 額に入れて黙読してから出勤する生活となりました。 自分は聖人ではないが、その境地に近づくべく研鑽を積もうと 内省し、決意したことが大きな転機となったのです。 この言葉を踏まえて生徒指導で意識したのは3つ。 1、間違った行いは正す必要があれども、 必ず「どうしてこういう結果になったか」を問うて答えを述べさせる。 2、叱る時は一対一で、褒める時は人の前で。 3、話は最後まで傾聴し、頭ごなしに否定しない。 その結果、生徒や保護者に余裕を持って対応できるようになりました。 幾度か壁を乗り越え、最終的に担任生徒の保護者から 「あなたなら任せられる」と様々な協力を得られるまでになりました。 |
2026.06.22 |
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