本文へスキップ

      次代に輝く住まいを創る

TEL. 0246-65-2311

〒979-0154 福島県いわき市沼部町鹿野43

一語履歴WORD vol.191b

過去の一語履歴を見ることが出来ます。

一語履歴 HOME
⇦前 一語履歴 次⇨ 
一語履歴 vol.200
士大夫 200aルイス・フロイス 200b勝海舟 200c関は人間を磨く
一語履歴 vol.199
日本料理 199a幼い娘 199b汲み取り屋 199c松下幸之助師匠の教え
一語履歴 vol.198
視座を高める 198a小泉八雲 198b孔子が求めた 198cこれは素人の論文
一語履歴 vol.197
分かれ道 197a一流と二流の差 197b視座を高めて 197c積み重ね
一語履歴 vol.196
ありのまま 196aプロの掃除道 196b小さなリーダー 196c実力を発揮
一語履歴 vol.195
和太鼓 195a笑いによって 195b音楽療法 195c空間デザイナー
一語履歴 vol.194
不便さ 194a成長する時 194b目の輝き 194cマツダの快進撃
一語履歴 vol.193
立ち直り 193a歴史の遺訓 193b向上心 193c腑に落ちた知識
一語履歴 vol.192
明治生まれ 192a誠意を尽くした 192bプロの仕事 192c時間の創造主
一語履歴 vol.191
乗り越えられる 191a最善の努力 191b最大の逆境 191c鬼の口
人生最大の逆境を乗り越える
               北 康利(作家)

早川徳次(とくじ)大手電機のシャープの創業者にあたる人物です。

大正12年9月1日午前11時58分、
近代国家となって以来、
経験したことのない
強烈な地震が首都圏を襲った。

お昼時だったため、
そこここで火災が発生し、
その熱風が渦をまいて
強烈な上昇気流となった。

徳次の家のある本所の
あたりは蒸し焼き状態となり、
家も工場も一度に失った。

そして彼の家族である。

火が出た際に子供たちをかばったため、
妻・文子は全身に大火傷を負っていた。

炎と熱風に追われるようにして
油堀(深川にある十五間川の通称)の
中へと避難し、流されないよう
堀の中の杭にすがりついた。

6歳になる克己をおぶって
9歳の煕治をかかえているのはつらい。

だが、いくら待っても
火の勢いは収まらない。

意識が朦朧(もうろう)としてきた。

ふと背中が軽くなったと思ったら、
背中の克己が流されていった。

慌ててつかまえようと
手を伸ばした途端、
こんどは煕治が流されていった。

もう錯乱状態である。

その後、どこをどうさまよったのか、
避難所となっていた岩崎別邸で
徳次と再会した時には、
息も絶え絶えになっていた。

「すみません、子供たちを……」

そう苦しそうに言うと、
あとはただ泣くばかり。

そして彼女も、この2か月後に
子供たちの後を追って
あの世へと旅立つのである。

妻と子供、家と工場、
すべてを一瞬で失っただけではない。

そこにさらに追い打ちをかけるように、
大阪の日本文具製造という
会社(中山太陽堂の子会社)が
借金を返すよう迫ってきた。

財産を失った徳次に返す当てはない。

やむなく会社を解散し、
シャープペンシルの特許を
無償提供し、製造機械を
その会社に売却することにした。

その点、彼は実に潔かった。

借りた金は何としても返す。

それは商売の基本である。

今の自己破産や会社更生法などは、
更生しやすいものの、商売に甘えが
出てしまうのは間違いないだろう。

特許は入手したものの、
日本文具製造に技術はない。

そこで震災の年の12月、
徳次は新天地の大阪へと旅立ち、
彼らの技術指導を始めることとなった。

そして技術指導にめどが
立った後の事業再開の根拠地として、
大阪府東成郡田辺町大字猿山25番地
(現在の大阪市阿倍野区西田辺)の
235坪の土地を10年契約で借りた。

現在、シャープ本社がある場所である。

工費はざっと2,500円。完成した8月末日、
日本文具製造を辞して再起の旗を揚げた。

このとき徳次30歳。

新しい工場に「早川金属工業研究所」
という看板を掲げたのは、
震災からちょうど一年後の
大正13年9月1日のことであった。

彼はあえてこの日を
再出発の日に選んだのだ。

人生最大の逆境にも耐え、
彼は再び立ち上がろうとしていた。

もしここで心折れていたとしたら、
現在のシャープはない。

給料を出せるかどうか
分からない状態にもかかわらず、
徳次を慕って多くの従業員がついて来た。

晩年、彼は揮毫を頼まれた時、
“何糞(なにくそ)”と書くことが
あって人を驚かせたという。

負けじ魂がふつふつと湧き上がっていた。
 
2016.02.27

バナースペース

櫛田建設株式会社

〒979-0154
福島県いわき市沼部町鹿野43
Mail infous@kushida-web.com
TEL 0246-65-2311
FAX 0246-65-2313
定休日:土曜日・日曜日